パニッシャー(シーズン1)

Netflixのシリーズもの。デアデビルジェシカ・ジョーンズ、ザ・デイフェンダーズと同じ系列で、デアデビルのスピンオフ。

ジェシカ・ジョーンズはグダクダしすぎ、デアデビルはシーズン1のフィスクとの戦いはよかったが、シーズン2がつまらなくて挫折しちゃった。ルーク・ケイジはそもそも趣味じゃないから見ていない。そんな中、期待せずにパニッシャーを見始めたのだが、シリーズの中で一番面白かった。

登場人物それぞれの生き方やあり方が丁寧に描かれていて、ストーリー展開に説得性がある。特にマイクロとフランクの二重性がものすごくよかった。

家族をなくしたフランクと、自分が死んだことになっているので家族に会えないマイクロ。フランクがマイクロにかわって家族に会い続け、不完全ながら父親の役割を果たそうとする。しかし危ういバランスの上で成り立つ関係は、そのうちマイクロの妻のサラがフランクにキスしたことで崩れ始める。動揺してフランクとぺニスの大きさ比べをしようとするマイクロ。それが数少ない笑えるシーンだった。男が行きつくとこはやっぱそこか、みたいな。

背景もいい。アメリカで社会問題となっている帰還兵たちの社会復帰を正面から捉えている。国に尽くしたのに裏切られたと感じ、苦しみ続ける男たち。一見帰国後の生活に問題なく溶け込んでいるように見えるルッソやカーティスも実はそれぞれの矛盾や良心の呵責を抱えている。一番苦労しているのが若いルイスで、途中まで境界線上でフラフラしていてどっちに転ぶのか読めなかったが、けっきょくダークサイドに落ちていってしまった。それまでの経緯も丁寧に描かれていて、大勢の人間を殺傷した彼も悪者と言いきれない切なさがある。周囲の人間の関わりかたによっては救われていたかもしれないのだが、じゃあどうしたらいいのかという明確な答えは見つからず、その曖昧さが曖昧なまま残るのに、そこまで後味が悪くないという不思議なエピソードだった。

そして銃規制に賛成するわけではないというスタンスも面白い。それをカレンの口から語らせるというのが大胆だし、銃規制賛成の上院議員がクソというのも私には新鮮な展開だった。まあパニッシャーで銃規制の方向は無理だろうけど、そこまではっきり主要な登場人物の一人(しかも若い白人女性ジャーナリスト)に言わせるというのは、この作品のスタンスを語るものとして大きいのではないか。

あとルッソね。ただのイケメンじゃなかった。
でも最後美しい顔をめちゃくちゃにされちゃう。今シーズン2を見てるけど、仮面をつけているルッソは本当にビリー・ルッソなの?

いったん決着がついたシリーズをどうやって続けるのか、それも気になる。