窓辺の女の向かいの家の女

Netflixのシリーズドラマ。サスペンスらしいのに一話目に誰も死なないから「は?」と思って見ていたら、そのうち殺される人が出てくる。

主人公はアル中の元絵描きアナ。悲惨な過去を乗り越えられずに離婚して酒浸りになっている。元夫はFBIの精神鑑定する人。ある日9才の娘が、父親の職場密着みたいなアメリカの子供たちがよくやっているっぽいイベント(?)で父親の連続殺人犯のインタビューに同席し、運悪く殺人犯と2人きりになって食べられてしまった。アナはその事件以来壊れちゃって、毎日ワインを飲んでグダクダ暮らしている。ぶっとびすぎた話なのでアナの思い込みかと思っていたら、どうやらドラマのなかでは本当に起きたことらしい。前提からして変な話でしょ。

その割には毎日フルメイクだし、家も片付いてるし、金に困っている様子もない。私が毎日飲んだくれて暮らしていたら、まず着替えないし、シャワーを浴びないし、そもそも身だしなみ以前に生活の基本が押さえられなくなって家がカオスに突入すると思うが、まあドラマの世界なのでそこはよしとしよう。

でもすごいのがアナの飲みっぷり。ワインボトル一本分がまるまる入るグラスに赤ワインをなみなみと注いで、飲み続ける。私もあのグラスがほしくなった。

そしてアナは酒と向精神薬を同時に摂取するので、頭がおかしくなって現実と幻覚の区別がつかなくなる。見ているこちらも、アナにとっての現実や思い込みを見ているのか、本当に起きたことを見ているのかわからない。ここはミスター・ロボットと同じ感じ。

現実感のあるドラマではないのだが、誇張や独特の舞台ルール(?)みたいなものを受け入れられると気軽に見られる。次々と怪しい人が出ては消えていくし、そもそも途中までは殺人事件があったかどうかも不明なので、思わず展開が気になって最後まで見ちゃう。

真犯人は自称想像力豊かな私にも予想外の人物だった。しかしずっと気になっていた原題にヒントがあった。微妙に原題と邦題にずれがあるのよね。細かい文法ではなく、名詞に。

原題: The Woman in the House Across the Street from the Girl in the Window

Netflixの邦題: 窓辺の女の向かいの家の女
Google翻訳: 窓際の少女から通りを挟んだ向かいの家の女
DL翻訳: 窓辺の女と向かいの家の女

Google翻訳が今回は一番正確。訳した側にそれはわかりきっているはずなのだが、あえてタイトルを直訳っぽくしながらも正確に訳さなかったところに意図を感じる。見終わって「そこね!」と思った。

でも本当はただ単に字数制限があって意訳したタイトルに私がミスリードされた気になって勝手な解釈をしただけ? 見終わったあとまでもんもんとさせられる。

あと全然関係ないが、にょろにょろに似た顔をしたアナの友達がいい人。曲者揃いの中、ドラマの最初から最後までいい人なのは彼女だけだった。