SICARIO

He Was One of Mexico’s Deadliest Assassins. Then He Turned on His Cartel. https://www.nytimes.com/2019/12/14/world/americas/sicario-mexico-drug-cartels.html

NYTの長文記事。メキシコカルテルの殺し屋の話。映画「ボーダーライン」を逆の視点から見た感じの記事である。

カルテルの殺し屋養成トレーニング(コーチの指示に従わなかったり、ためらえば自分も即座に殺される)から始まってメキシコ警察の腐敗、機能しない証人保護プログラムについて、最後はこの記事の中心にある若い殺し屋がカルテルを裏切って貴重な証言をしながら自分もまた犯罪の世界に戻っていくまでのストーリーを緊迫感とともに綴っている。

同じ世界にこんな絶望と暴力のなかに身を置く人たちがいるのが平和な日本に住む私にとって信じがたい。ハリウッド映画で見れば遠い話なのだが、ノンフィクションの記事を読むと現実感が迫ってくる。

殺し屋が記事中で「シカリオ(殺し屋)」という名前で描写されるのはわかるのだが、記者の身の安全は担保されているのだろうか? 本人に密着取材しないと書けない内容だと思うが、今後カルテルにつけ狙われることはないのだろうか? こういう記事を読むと、記者とNYTの表現の自由に対する断固とした姿勢が透けて見えてくる気になる。

対する日本のメディアはどうなのかという問題提起もしたくなるが、そもそも日本の新聞を読んでいないのでぜんぜんわからない。でもなんかNYTのほうがすげーって感じはする。