「コントロール」とは

Netflixで「Mr. Robbot」を見ていてシーズン2のエピソード3まで来た。自我と現実の境界が曖昧になって世界が歪んでいるところが最高。見ているこっちにも、主人公エリオットが狂気を通して認知している世界とドラマ上の現実の区別がつかない。マーベルの名作「レギオン」と同質の不協和音にわくわくする。(でもレギオンのほうは、シーズン2からついていけなくなってしまった。そのうちまたチャレンジしてみよう。)

で、見ていて胸を打たれたセリフがあったので、ここに書き留めておく。

Control is 'bout as real as a one-legged unicorn taking a leak at the end of a double-rainbow
字幕: コントロールの存在などユニコーンと同様非現実さ

実際の内容: コントロールってのは、二重になった虹の端でションベンする一本足のユニコーンくらいあり得ないもんだ

字数制限もあるだろうが、字幕のオリジナリティのなさがひどい。ウィットもひねりもぜんぶつぶされている。が、字数制限がないのに私の訳も面白味がない。

ちなみに、Google翻訳だと意味不明になる:
コントロールは、片足のユニコーンが二重の虹の終わりに漏れるのと同じくらいリアルです

技術的な翻訳だと精度がわりに高かったりするが、文学表現では壊滅的。主語と述語くらい一致させなさいよ。

Deep Leaeningの翻訳だと、最後の風刺表現以外は正しい: コントロールは、二重虹の終わりに小便をする一本足のユニコーンと同じくらい現実的なものである

惜しいな。人間だったら、逆の意味で「real」を使っているのが絶対にわかるのに。このハードルを乗り越えられるようになったらAI翻訳も本物に近づく。ただ、技術的なテキストにはこういう遊びや知的なユーモアがないので、そんなとこが翻訳できなくてもまあ十分実用に耐えるレベルかもしれない。有料サービスを提供しているということは、それなりに自信があるってことだろうし。