難病

今年に入って母の調子が悪く、色々な医者にかかって、最後に原因不明の難病だということが判明した。進行性の麻痺を経て死に至る重い難病である。

その病気のことは知っていたが、それは遠くにあってなんとなく怖いけど自分には関係ないものだった。それが今はいきなり目前にある。母の場合は診断がついてまだ一月経っていないのに医者の予想をはるかに上回るスピードで症状が進行し、呼吸に困難を生じるようになってきた。

筋肉が退行するのでどんどん痩せていくし、呼吸だけではなく飲食も難しくなり、運動機能もあっという間に衰えていく。最終的には食事も呼吸もできなくなるので、呼吸器と胃瘻なしには生きていけない。しかし母は身体への侵襲を好まず、告知を受けた時点で自然に死ぬことを望んでいた。それは当然だろうと我々家族も考えていた。

しかし実際問題として、死ぬということがそれほど楽なことではないということが多分母にも私たちにもわかってきた。次第に呼吸機能が衰えて死に至るのはものすごく苦しい。意識不明ならいいが、意識ははっきりしている。そのまま呼吸が苦しくなっていくのを弱った体で我慢できるのだろうか? 私だったら我慢できずに呼吸器につないでもらうだろうと思う。

相当前に見た同じ病気のまりあさんという人のドキュメンタリーを思い出す。まりあさんは呼吸器の装着を拒否して亡くなったということだが、どれだけ苦しかったんだろう。意思の力で苦しさを抑え込んだのだろうか。それとも最後は麻酔などで意識がない状態だったんだろうか。

前回の告知の時には呼吸器と胃瘻についてはおいおい考えるようにと言われたが、今日は次回の月末の診察までに結論を出しておくようにと言われた。呼吸機能が落ちると麻酔のリスクがまして、胃瘻手術ができなくなるおそれがあるのだ。

父母も私も展開の早さについていけず、呆然としている。