2021年の振り返り(後半・仕事編)

介護は大変だったが、転職も実はものすごいストレスだった。完全在宅の転職はお勧めできない。

まず、完全在宅勤務での転職は物理的情報がゼロなので、情報収集が大変。実際の事業所などであれば、少なくとも本棚や引き出しや机の位置は把握できるし、そこから何らかの情報を推測できることもある。しかし在宅勤務では手がかりゼロ。しかもうまくいっていない部署の管理職で、前任者は辞めたあと、直属の上司からの具体的なアドバイスは皆無、部署のメンバーは精神的に不安定という多重苦のおまけつきである。下からも上からも期待はされるが、自分の立ち位置もタスクも不明。今考えてももだえそうになるくらいきつかった。

一番の問題は経営陣が外ばっかり向いていることで、組織内で働いている人間はたても横も繋がりなく孤立して病んでいくのである。在宅勤務なのに十分な情報も与えられず放り出されて、誰も助けてくれずに自力で仕事をしないといけなければ、精神的に不安定になるのは当然である。しかし経営陣は「うちの成長速度についてこられない人が辞めていくのはしょうがない」という割りきりをしていて、辞める人間が多いことを問題視していない。不足な人員は補充すればいいし、「うちで働きたい人間はいくらでもいるから」という思想である。自信過剰じゃないの?

正直、また思いやりのないイケイケ組織に入っちゃったよという感じである。だが私は管理職になりたかった。現実的に専門性の低い私のつぎはぎバックグラウンドで管理職は難しかったので、とりあえずそこはよしとしよう。

それで私が目指したことは、最低限自分のチームは雰囲気よく助け合えるようにしようということだった。それしかできることないし。でも口で言ったって何も始まらないので、率先して部下をヘルプした。それだけ。そしたらチーム内の空気がみるみるうちに変わってきて、自信なく不安定にイライラしていたメンバーも落ち着いて仕事ができるようになってきた(ように見受けられる)。それぞれ苦手分野はあるが、真面目に働いているので、苦手なところをこっちで引き取ったらイキイキしてきたとでも言いましょうか。

あと上司面してもしょうがないので、対等に話をする。「あんたが言っていることは見当外れですよ」と柔らかく言われて、それがそうなら引き下がる。作業を指示してその場で断られて、なめられてるなーとはらわたが煮えくり返ったこともあったが、新米が軽んじられるのはしょうがないので、グッとこらえる。今考えると、感情的にならならなくてよかったと思うことばかりである。

そこはオンラインコミュニケーションのよいところで、腹がたっても表情を読まれにくい。ビデオをオフにしていれば音声だけだし、ビデオでもマイクロエクスプレッション(微細な表情)まではうつらない。対面とはそこが違う。

そう、リモートワークにもよいところはたくさんある。
まず、よく言われるが通勤時間がゼロなこと。これは楽。寒くても暑くても関係ない。

あと、互いに嫌なところが薄まる。対面だと5割増くらいで嫌だろうなという人が何人かいるが、そこまで腹が立たない。顔を合わせないと人間関係はすべからく希薄になるが、ネガティブな部分も希薄になることはあまり指摘されていない。だから意識してポジティブな部分を強化すればよい。それが難しいんだけど。

それから仕事量は圧倒的に減った。が、給料は横にスライドなのでコストパフォーマンスは格段によくなった。もちろん責任は重くなったが、それは当然なので別によい。なので生活に余裕が出た。短期間だったが、在宅勤務と介護を両立できたし、その後も本を読んだり、料理をしたり、家を清潔に保ったり、人間として最低ラインを越える生活が送れるようになってきた。

これまで自分は怠け者で不潔でも平気な人間だと思っていたが、そうじゃなくて仕事が忙しすぎて生活を省みる余裕がなかっただけだった。生活に余裕があると、こんなに精神的に豊かな暮らしができるものなのかと驚いた。

前の職場で働くのは今より楽しかったが、どうもボスにはやりがい搾取されている感が否めなかった。同じ信用できない上司なら、気前がよいほうがいい。楽しくない職場なら、これから楽しくなるようにすればいい。

とりあえずそんな感じ。
当面の目標は自分のポジションを確定させて、周囲の信用を勝ち取ることかな。成果出してないから給料下げるねーとか平気で言い出しそうな経営陣だから、そこだけ要注意。頑張ってるアピールはぬかりなくすること。