トップモデル番組の思い出

アマゾンプライムのリアリティーショー系のデザイナー見つけ番組、Making the Cutを見た。世界中のデザイナーが10人くらい集められ、毎週選抜されていく方式。タイラ・バンクスが始めたファッションモデルオーディション番組(America's Next Top Model)を踏襲している。で、トップモデルシリーズを見ていた時のことを思い出した。

Making the Cutの司会はハイディ・クルム。この人はGermany's Next Top Modelの司会だったし、英語も上手で毎回ハイテンションなのでまあ適任。タイラ・バンクスはANTMの色がつきすぎたから、今回は似たバックグラウンドのハイディを起用したということなのか?

私はこの系統のオーディション番組が好きで、アメリカとカナダとドイツとオーストリアのを一時期よく見ていた。トップモデルシリーズがフランチャイズ化して一気に世界中に広まった時期があって、色々見比べていたのである。でも皮肉なことにそこから誰一人としてトップモデルは出なかったと思う。

トップモデルシリーズを総括すると、目の前にトップモデルのステータスというニンジンをぶら下げられた若い美しい女性たちが、エゴむき出しで定義のはっきりしない美を競い合うのを視聴者が楽しむという品のない番組だった。

タイラやハイディは、モデルならこれくらいしなきゃと、本当だかなんだかわからん大義を掲げて参加者に長い髪を切らせたり、裸に近い格好をさせ、カメラは彼女たちが取り乱すのを逐一映し出した。参加者が羞恥心を見せるとプロとしてなってないと説教される。

二人とも元トップモデルの大御所だから自分の苦労話とか滔々と語る。でもはたから見ていると、自分が苦労したんだからお前らも同じ苦労をしろよと若い世代を苦しめるおっさんたちとやっていることはあまり変わらないのである。

もっとたちが悪いのは、モデルとしては旬を過ぎた中年女がそのキャリアをバックに、若いモデル志望の女性たちをカメラの前で競わせて金儲けしていたこと。要は、元トップモデルたちがキャットウォークを下りたあとも稼ぎ続けるための舞台装置があのシリーズだったのである、多分。

参加者たちもアクが強いのが揃ってるので、足の引っ張りあいとか、ケンカとか、わりにすごかった。そりゃ一攫千金を狙う目立ちたがりやたちにストレス与えて長期間集団生活させれば仲たがいもするだろうに、逆に問題行動をする者は心が弱くてモデルに向かないというような見せ方をする演出もあざとかった。

当時の参加者たちに昔を振り返ってもらうインタビュー番組とか作ったらいいのではないか。当時から批判はあったが、今思い出してもけっこう問題だらけの番組だった。